カウント2.99!!

カウント3が聞こえるその日まで

丸腰となった制御不能な男たち 内藤哲也について

 

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レスリングどんたくも大盛り上がりで終了し、新日本プロレスは次のストーリーへと移行する。数々のタイトルマッチを終えたわけだが、ここで一つ異変が。新日本プロレスにおける大人気ユニット「ロスインゴベルナブレス・デ・ハポン」のメンバー全員が、現在ベルトを所持していないのだ。

 

ついこの前まで全員が持っていた気がするのだが、まさに光陰矢の如し。次のシリーズで彼らがどういった行動に移るのか、勝手に予想していきたい。

 

「白黒」付けたいカリスマ

まず、目標が明らかになっているのがリーダーでもある内藤哲也だ。

 

現在のIWGPインターコンチネンタル王座戦線は、前王者である内藤哲也が王者・飯伏幸太選手に挑戦表明を行っており、飯伏もそれを承諾。後は日時・場所を決めるだけという状況である。

 

そして内藤は、3日の試合後に、「いつやるのか」という飯伏の呼びかけに対して、「明日やる?」と返答。一時は会場も大盛り上がりとなったが、すでにカードが決定していたため実現はならなかった。

 

本隊のエースである棚橋弘至が欠場する中、飯伏幸太は事実上、本隊の中心として今シリーズ話題を振りまいてきた。「SENGOKU LORD in NAGOYA」のメインイベントで勝利を掴み、ファンの前で新日本プロレス所属を誓い、「全部出ます!!」と言い切った。その結果、「レスリングどんたく2019」シリーズの対戦カードが変更されたのだから飯伏幸太選手こそ本物の「制御不能のカリスマ」なんじゃないかと思う次第である。

 

内藤哲也は以前、このインターコンチネンタル王座のベルトを「価値のないベルト」として扱った。「新日本プロレスは選手全員にベルトを用意する気なのか。」IWGPこそが頂点であり原点であると主張し、その価値観や既成概念ごとベルトを破壊しようとしていた内藤の姿はファンの間でも物議を醸しだした。

 

その後、二度目の戴冠を果たした内藤は、このベルトをIWGPへの架け橋にしようと考えた。IWGPとICの同時戴冠。前人未到の偉業を自ら掲げた。あくまで、「インターコンチネンタル王座に興味はない。インターコンチネンタル自体は無価値」というスタンスを崩すことなく。

 

ベルトの価値とは

そもそも「ベルトの価値」とは一体どういうものなのだろう。

2016年。メキシコからロスインゴベルナブレスを持ち帰ってきた内藤哲也選手は新日本プロレスの頂点にいた。「IWGPヘビー級王座」に輝き、東京ドームで棚橋弘至選手超えを成し遂げた。一挙一動にファンは歓喜。グッズの売上を見ても、この年、実際に新日本プロレスに金の雨を振らせたのは内藤哲也であった。「ロスインゴ旋風」という一大ブームがプロレス界を席巻した。

 

そして今、ロスインゴは一過性のブームで終わらず、一つの「ブランド」として定着した。内藤哲也の腰にベルトがあろうがなかろうが、彼の選手の価値は決して下がらない。いっときの勢いこそ下がったものの、ロスインゴはどのユニットにも突き動かされない「圧倒的なファンの支持率」という盤石な土台を手に入れた。

 

ゴールデンスターは危険な輝き

いまその巨大なロスインゴという要塞に風穴をあけんとしているのが飯伏幸太である。飯伏幸太は何をするかわからない。飛んじゃだめだといっても飛ぶ。やっちゃダメな危険な技を仕掛ける。受ける。飯伏幸太には人間の心を奪う一瞬の煌きがある。

 

2019年2月。盟友が新天地へと旅立つ中、「新日本プロレスに残ります」とファンの前で宣言した飯伏。大歓声に包まれた場内。そしてベルトを取った後は「IWGPインターコンチネンタルベルト」を「最高」の地位まで押し上げると語った。一歩踏み出す勇気を持って決断した少年のような瞳の飯伏に、ファンは「明るい未来」を見た。

 

内藤は飯伏にある種の嫉妬を抱いているのだと私は思っている。何を言っても、いい試合をしてもファンは振り向かなかった時代が内藤にはあった。「制御不能」に方向転換せざるを得なかったと言っても良い。

 

今の飯伏の姿はひょっとすると内藤が若き日に思い描いた「スターダスト・ジーニアス」の完成形なのかもしれない。内藤にとって飯伏幸太を倒すことは、頂点へのきっかけを作ることに加え、過去の自分との決別をも意味するのでは、と勝手に深読みしている。

 

新日本の新時代を掴む戦い

となると、この試合は両者が未来を掴むための大一番だ。新日本プロレスで生きること、新日本プロレスのために戦うことを決意し、未来を築こうとする現王者。過去を捨て、輝かしい未来を、新たなる景色をつかもうとする前王者。同い年、何かと比較され続けてきた両者の過去と未来がリングで交差する。