カウント2.99!!

カウント3が聞こえるその日まで

激闘の春 金の雨止みぬ

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 「新日本プロレスからいろんな人がアメリカに行ったけどさぁ、ニュージャパンカップ物足りなかった?」

人生とは出会いと別れの繰り返し。今年に入りケニー・オメガ率いるTHE ELITEの脱退、KUSHIDAの渡米は新日本プロレスに大きな影響を与えた。しかし、その杞憂を吹き飛ばしたのがニュージャパンカップ。史上最多の32名によるトーナメント。激闘に次ぐ激闘。毎年春は、我々に興奮と、「新日本プロレスは大丈夫だな。」という安堵を与えてくれる。

 不安を拭う新日本の春

選手が相次いで脱退すると聞いて思い出したのは2016年のこと。当時IC王者であった中邑真輔とBCのリーダーであったAJスタイルズ、名タッグチームとして名を馳せたカール・アンダーソン、ドク・ギャローズのWWE移籍である。人気選手が抜けるという事実、そして「新日本プロレスWWEのファームと化してしまうのではないだろうか。」という私の不安を吹き飛ばしたのはその年のニュージャパンカップだった。制御不能のカリスマ、内藤哲也が春を制し、そこから疾風怒濤の「ロスインゴ旋風」が巻き起こったのは皆さんの記憶にも新しいのではないだろうか。

 

さて、ニュージャパンカップの決勝戦。対戦カードは「オカダ・カズチカVS SANADA」丸腰ながら王者の風格を持つ男と無冠の天才とが相打つ事となった。

 

試合は両者ともお得意のクラシックな流れ。緊張感のある時間が続く。なんだか安心してみてられる組み合わせだなぁ~、と思っていた矢先、場内アナウンスの声が聞こえた。

「20分経過、20分経過」

え?もう20分もたったの?まだお互い大技出してないよ?嘘でしょ?石井がNEVER無差別級王者だった頃、はじめっからバッチバチの攻防を繰り広げる中「5分経過」というアナウンスに解説が「まだ5分しか立ってないの?」とよくコメントしていたが、それと全く逆の現象。両者ともまだまだ底を見せてはいない。天才同士が交わると時間軸がおかしくなるのか。勉強になった。

 

そして、これからこのカードが鉄板カードになる匂いを残しつつ、オカダのレインメーカーが炸裂。MGSで宿敵・ジェイ・ホワイト、久々のIWGPベルト挑戦する事となった。

SANADAとの死闘を制し、オカダはマイクを手に取り高らかに宣言した。「新日本プロレスのリングが世界で一番好き」だと。

 

ドラマはリング外でも待っていた。「ザ・レスラー」柴田勝頼がそこにいたのだ。ニュージャパンカップ2017の決勝戦。バットラック・ファレを破った柴田は「約束したやつがいるんだよ」と言い放ち、当時オカダ・カズチカが持っていた「IWGPヘビー級ベルト」に挑戦した。そして、その試合を最後に、2019年現在、プロレスの試合は行っていない。

プロレスを愛し、プロレスに愛された男。そんな男の選手生命を断つほど追い込んでしまった。オカダの葛藤、苦悩は計り知れない。

 

その翌日、ファレとのIWGP戦を勝利で終えた後のマイクパフォーマンスでオカダはこう言った。

IWGPの闘いはキツいです。

全レスラーがこのベルトを目指すからこそ、闘いも激しくなります。

激しくなるからこそ、全力で闘うからこそ、怪我をする人も出ます。

でも、プロレスラーは”超人”です!

どんな技を食らっても立ち上がります。

最後まで諦めないのが、プロレスラーです!

これからも全力で闘って、みなさんに素晴らしい闘いを見せていくからな!!」

 

どんな相手にも立ち向かい、どんな技でも受け止める。倒れるときは前のめり。決して諦めないのがプロレスラー。この発言の裏には柴田勝頼への思いがあったかもしれない。

オカダ・カズチカ選手はこの後、「IWGPヘビー級ベルト」の戴冠期間、防衛回数の記録を塗り替え、新日本プロレスの象徴となる。

 

試合後、柴田はオカダに向けてこう言った。

「俺は生きてる。安心しろ。泣くな。」

最低限の言葉で最大級の思いを込める。柴田勝頼らしいコメントだった。

 

さて。いよいよ次なる舞台はマディソン・スクエア・ガーデン。オカダは連敗中の宿敵、ジェイ・ホワイトIWGPを書けて対峙する。プロレスの聖地に金の雨を降らせる事ができるのか。