カウント2.99!!

カウント3が聞こえるその日まで

リングの中心で愛を叫ぶ【NEW JAPAN CUP準決勝 感想】

https://njpwworld-img-cache2.akamaized.net/imagecache/5/16484/1/1/1280/720/1/0?r=833898598

新日本プロレス春の最大トーナメント、NEW JAPAN CUP。日夜、我々プロレスファンに熱狂と興奮を与えてくれているこの祭典もいよいよ大詰めになってきた。

 

史上最多の32名がノミネートされたこの大会。生き残ったのは石井智宏オカダ・カズチカ棚橋弘至、SANADAの4名。この中の誰がMSGのメインに立つのだろうか。

CHAOS劇場のクライマックス

まず注目するのは準決勝一回戦、石井智宏VSオカダ・カズチカ。同ユニットのため、今まではG1ぐらいでしか対戦することのなかった二人がいよいよ相見えるが、両者とも名試合製造機であるため、否が応でも期待が高まってしまう。

 

以前、内藤哲也は自身がベルトを超越したレスラーだと語ったが、オカダ・カズチカもいよいよその粋に達しているのではないだろうか。先だってのウィル・オスプレイとの対戦からは現状無冠でありながらも「王者の余裕」を感じ取ることができた。

 

私はオカダの試合が好きだ。なんというか、心から「安心」して見ていられる。いつでも、どこでも、誰とでも。国内だろうが海外だろうが巨漢だろうがハイフライヤーだろうが極悪非道のヒールだろうが、どんな環境でも良い試合、名試合を繰り広げることのできる懐の広さはすでに大のつくベテランレスラーの域に達している。相手の器に合わせて形を変える、まるで「水」のような柔軟性こそオカダ・カズチカの魅力、「レインメーカー」たる所以であろう。

 

オカダが「水」なら石井は「火」だ。闘志を内に秘め、静かに燃え盛る真っ赤な熱の塊だ。相手の土俵に自ら乗り込むオカダと違い、石井は相手を自らの土俵にあげさせる。どんな相手も石井智宏との試合では火花バチバチな漢の世界に引きずり込ませるのだ。そして石井自らも、ここぞというタイミングで関節や飛び技など意外な技を引き出してくる。見ている側にとって「石井があの技を出した!」「石井と真っ向からやりあえるなんて〇〇すげーな!」と戦った両者がWin-Winとなる。こういったベストバウトの方程式によって、石井智宏は「名勝負製造機」と呼ばれるのだ。

 

さて、期待が高まりまくる両者の試合、先に火をつけたのはオカダだった。序盤からオカダは「怖い石井」を引き出そうとする。そして火がつく石井。ストーンピットブルはティファールより早く沸く。

 

打ち合い、読み合い、躱し合い。手の内を知り尽くした者同士だからこそたどり着く、信頼の先の新たな境地。激しい消耗戦の中。オカダは代名詞のドロップキックで活路を開いていく。しかし、ここ一番での石井の閃きは怖い。一発目のレインメーカーを頭突きでかち上げ、逆にレインメーカー返し。追撃にトップロープからのブレンバスターで流れを引き寄せる。が、オカダも負けてはいない。またもやドロップキックで流れを呼び戻し、高山善廣を彷彿とさせる高角度のジャーマンスープレックス。ここからレインメーカーへとつなげる。

 

だが、だが!!ここでまたもや石井の閃き。逆一本にて投げ飛ばし腕ひしぎ十字でオカダの左手を狙う。またもやレインメーカー大喜利に新たな一本が生まれてしまった。

masa7110njpw.hatenadiary.jp

意地と意地とのぶつかり合い。最後はオカダが奥の手スクリューパイルドライバーからのレインメーカーで勝利を引き寄せた。ニュージャパンカップを席巻したCHAOS劇場は死闘の末、オカダ・カズチカの勝利で幕を閉じた。

f:id:masa7110:20190324002136p:plain

「逸材」と「天才」

本日のメインイベントは棚橋弘至VS SANADA。この両者は共通点の多いレスラーだと言える。両者とも「プロレスリング・マスター」武藤敬司の系譜を色濃く受け継いでいる。また両者ともクラシックなスタイルのレスリングを好み、顔立ちも精悍。ストリートファイターで言うリュウとケン。性能は似ているが性質、性格は逆と言った印象を受ける

 

ベルトを失った丸腰のエースとタイトルだけが足りない男。試合会場の長岡は棚橋にとってはケニー・オメガをインターコンチネンタル王座をめぐり争い敗北を喫した因縁の地。SANADAにとっては愛する地元であり、数ある「日本で一番好きな場所」の一つ(どう見てもおかしい日本語だが、残念ながら間違ってはいない)である。

 

試合開始、観客の歓声はSANADA推し。このアピール合戦は「さすが棚橋」と褒めざるを得ない。棚橋弘至新日本プロレスの絶対的エースであり、常に観客の味方、光の象徴である。それ故に「棚橋弘至が負けたほうが面白い展開」を観客が期待している場合、真っ先にこれを利用し、リングの上にストーリーを描いてしまう。この流れが自然かつ美しい。感心すると共に、久しぶりに「ヒール側」の棚橋弘至が見れるかもと期待する。

 

相手は飛べる。となると、当然、棚橋は「膝殺し」に徹底する。相手の機動力、跳躍力を奪い、自分のペースに持っていく。ドラゴンスクリューやテキサスクローバーホールド。おおよそエースには似つかわしくないほど残酷だが、実に棚橋弘至らしい攻め方でSANADAの体力を削る。

 

しかしSANADAもまた天才。消耗を感じさせない動き、テクニック、静かながら咲き誇るSANADAの才能は観客を大いに沸かせる

そして早い段階でムーンサルトを繰り出すSANADA。「どうした棚橋。俺はこれだけ飛べるんだぞ。」羽をむしりに来た棚橋の心をトップロープから折りにいく。

 

終盤、SANADAがジャパニーズレッグロールクラッチを狙ったところを棚橋が踏ん張って押し返し、逆に棚橋がジャパニーズレッグロールクラッチを狙ったところをスカルエンドで捕獲。上半身が隆起するほど渾身の締め上げをしてエースからギブアップを奪った。

 

以前は「SANADAはマイクができたらもっと良くなるのになぁ~」とか思っていた私だが、やはり天才は我々の常識を超える速度で成長している。「最近流行りのあれをしたい」と観客と証明に指示を出すと、そこに生まれたのは闇の中に浮かび上がる小さく幻想的な光の世界。多くの光は望まない。みんなの心に少しづつあればいい。どことなく影を感じさせるSANADAだからこそ、こうしたアピールが心を掴む。こうしてSANADAは初恋の場所、長岡で二度目の愛の告白をした。

f:id:masa7110:20190324001748p:plain

 いよいよ決勝戦!!

名試合に次ぐ名試合、そして最高のマイクパフォーマンスとお腹いっぱいになった本日の試合だった。本日はいよいよニュージャパンカップ決勝。対戦カードは「オカダ・カズチカVS SANADA。」オカダがジェイに借りを返しにいくのか、SANADAがスターへの道を切り開くのか。嗚呼、待ちきれない。